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タケの形態を範とする軽量・高強度・省部材型の最適円筒構造システム
研究代表者:島弘幸(山梨大・総合研究部・教授)
「なぜタケは軽くて丈夫なのだろうか?」本公募研究では、タケが進化の過程で獲得したであろう「最少材料・最大強度」の設計原理を、理論・実験の両面から解き明かします。その知見をもとに、竹の機能形態を模倣した力学的最適構造システムの創製を目指します。
接木修復系における細胞壁修飾制御を介した個体/組織の構造構築の研究
研究代表者:野田口理孝(名古屋大・准教授)
研究協力者:田畑亮(名古屋大・特任講師)
研究協力者:植田美那子(東北大・教授)
研究協力者:黒谷賢一(名古屋大・特任講師)
研究協力者:川勝弥一(名古屋大・研究員)
接木は人為的に植物を傷つけて、植物の自然の治癒能力によって傷口を修復・復元させることで、植物の個体/組織を再構造化する技術である。本研究ではこの接木に着目することにより、植物の個体/組織レベルの修復・復元様式を紐解き、力学的に保証された組織構造の可塑的な構築戦略について理解を深めたい。
樹木の重力応答と生存戦略から学んだ巨大空間構造の最適設計法
研究代表者:張景耀(京都大・院・工学・准教授)
研究協力者:小野田雄介(京都大・院・農学・准教授)
研究協力者:松尾美幸(京都大・生存圏研究所・循環材料創成・准教授)
本公募班では、地上で最も巨大な生物へと進化した樹木に習い、美しい形態と合理的力学特性を有機的に融合した新たな空間構造システムの創出に挑戦する。
・樹木の生存戦略に関わる力学的メカニズムの解明
・新たな空間構造システムのための最適設計法の開発
植物の力学的最適化過程のセンシングのためのレーザー描画による機能性パターン形成
研究代表者:渡辺明(東北大・多元研・准教授)
研究協力者:山田理恵(東北電子産業株式会社・代表取締役社長)
研究協力者:高橋真理子(東北電子産業株式会社・研究開発室・主任)
植物、植物由来材料および構造物の力学的最適化過程とサステナブル性の解明を目的として、植物の変異過程の可視化解析のための微細マーキング法の開拓、フレキシブルセンサーによる非破壊リアルタイムセンシング、および人為的な外部刺激による植物、植物由来材料および構造物の形態制御および組織変化の検討を行います。
物理的圧力が花の形態構造に与える影響の解析
研究代表者:岩元明敏(神奈川大・教授)
研究協力者:岩元真明(九州大・助教/一級建築士)
研究協力者:荒木美香(関西学院大・建築・准教授)
花芽分裂組織に人工的に物理的圧力を与える新規実験系を用いて、通常とは異なる、様々な形態の花を作り出すことを目指します。さらにこの実験系に、花が受ける微小圧力の大きさ、および花芽分裂組織の表皮細胞における張力分布変化を定量化するシステムを組み込むことも目標としています。
軽くて強くてしなやかな花粉エキシンの立体構造の構築機構とその力学的特性
研究代表者:石黒澄衛(名古屋大・院・生命農学・准教授)
研究協力者:大井崇生(名古屋大・院・生命農学・助教)
花粉は雄性配偶子を守るためにエキシンと呼ばれる細胞壁を形成します。本研究では、エキシンの立体構造をモデル化してその強さやしなやかさのしくみを明らかにし、さらに植物がこの立体構造を作るしくみを解明します。
トライコーム依存的な植物免疫における力学的特性の解明
研究代表者:野元美佳(名古屋大・遺伝子・助教)
研究協力者:多田安臣(名古屋大・遺伝子・教授)
研究協力者:豊田正嗣(埼玉大・院・理工・准教授)
研究協力者:別役重之(龍谷大・農・准教授)
研究協力者:松本健郎(名古屋大・院・工学・教授)
研究協力者:中山尚美(Imperial College London, Department of Bioengineering・Senior Lecturer)
研究協力者:鈴木智子(名古屋大・遺伝子・研究員)
本研究計画では、植物葉面上の毛状突起であるトライコーム依存的に誘導される植物免疫について、トライコームと葉表面組織の画像解析やイメージング技術によって、トライコームの力学的センサーとしての機能と力学的最適化戦略を明らかにします。
テンセグリティに調節される植物先端成長細胞の可塑的モノコック構造の解明
研究代表者:佐藤良勝(名古屋大・WPI-ITbM・特任准教授)
研究協力者:斎藤尚平(京都大・理・准教授)
研究協力者:多喜正泰(名古屋大・WPI-ITbM・特任准教授)
植物の先端成長細胞の力学的可塑性に着目し、マイクロ流体デバイス、蛍光ライブイメージングなどの技術を駆使して、植物細胞の力学的最適化応答機構の解明を目指します。
有殻アメーバの被殻建築から学ぶ卵型サステナブル構造システム
研究代表者:野村真未(山形大・助教)
研究協力者:市川正敏(京都大・専任講師)
研究協力者:西上幸範(北海道大・助教)
研究協力者:Josephine Galipon(慶應義塾大・先端生命科学研究所・特任助教)
単細胞生物の有殻アメーバは、細胞外の物体を巧みに操作し、細胞外の鋳型のない空間に卵型のサステナブルな家(被殻)を形成します。私達は4Dイメージング解析によって、単細胞生物による家造りという驚異的な現象の理解を深め、建築技術への応用を視野にいれた数理モデルの構築を目指しています。
イネの倒伏耐性機構から学ぶ植物の力学的最適化戦略
研究代表者:石川和也 (奈良先端大・先端科学技術・博士研究員)
研究協力者:阿部陽 (岩手生物工学研究センター・ゲノム育種・主席研究員)
研究協力者:竹田匠 (岩手生物工学研究センター・ゲノム育種・主任)
日本のほとんどのイネ栽培品種は台風の影響を受けるため、外国イネより倒伏耐性が強い。この倒伏耐性には、断面係数などの力学的特性および細胞密度、セルロースなどの細胞壁構成成分が複雑に関係している。本研究では、これらの関係性を明らかにすることで、倒伏耐性に関する植物の力学的最適値を明らかにします。
植物の根と土からなるシステム(土壌)を,分岐をもつ繊維によって強化された複合材料と捉えます.根およびモデル系を用いて破壊実験を行い,土壌の強靭化機構を解明するとともに,現象を記述する数理モデルを構築します.さらに,得られた知見をもとにして,土壌強化アンカーや樹脂複合材料の開発にも取り組みます.
粉末冶金プロセスを利用し,植物の根の構造を透明なガラス材料中に固定します.この技術で根および菌根菌の構造を数μmの解像度でガラス内に空洞として残すことに成功しています.刺激に応答した成長を促すことで,構造を制御するとともに,工学的な応用を模索していきます.
竹の建築構造への実用化を目的とした、植生地域・物理的特性・力学的特性の関係の解明
研究代表者:永井拓生(滋賀県立大・環境・講師)
研究協力者:山田宮土理(早稲田大・理工・准教授)
竹は力学的に非常に合理的な特徴を持っているにもかかわらず、形や物性の個体差、ばらつきが大きいがために工学的な取り扱いが困難で、これまであまり利用されてきませんでした。本研究では、竹の物性を推定するモデルを構築し、竹の利用促進を図るとともに、竹の「形と強さ」の関係を解き明かすことを目指します。
中空果実と「脳原基ドーム」発生の比較建築学:引張材・圧縮材の動的な壁内アセンブリ研究代表者:宮田卓樹(名古屋大・医学系・教授)
研究協力者:篠田友靖(名古屋大・医学系・助教)
研究協力者:岡本麻友美(名古屋大・医学系・特任助教)
研究協力者:長坂新(明海大学・歯学部・助教)
完成形が「塊」との印象を与える動物脳は,発生期においては「中空」です.頭の深部で周囲組織からの締め付けに耐え抗して育ちます.中空さで似るピーマンや白ネギの輪に切り目を入れると外へ開き・反りますが,脳原基リングにも同様の「カット時の開き」を見つけました.その原理・意義を,植物に学びつつ明らかにします。
細胞壁の力学的特性に注目したガス交換モジュールが構成するシステム構造の最適化
研究代表者:水谷未耶(名古屋大・学振特別研究員)
研究協力者:内橋貴之(名古屋大・理学/自然科学・生命創・教授)
研究協力者:大倉史生(大阪大・情報科学・准教授)
研究協力者:野下浩司(九州大・理学・生物科学・助教)
研究協力者:戸田陽介( 名古屋大学・生物・客員准教授)
植物は進化や適応の過程で、生育環境に合わせてガス交換系とその組み合わせであるガス交換組織の形態を最適化してきた。本研究では苔類ゼニゴケとその近縁種を用い、ガス交換系というモジュールを、細胞壁という部材に分解して分析し、適応的なシステムの構造最適化を理解することを目的に研究を行う。
光環境への適応により獲得した省エネ葉構造による力学的最適化
研究代表者:後藤栄治(九州大・院農・准教授)
研究協力者:横田慎吾(九州大・院農・准教授)
研究協力者:星野正人(高輝度光科学研究センター・主幹研究員)
本研究では、植物が適応・進化の過程で獲得した葉構造に着目し、その力学的特性と形成メカニズムの解明を目的とします。また、得られた知見をもとに、葉構造を模倣し、新たな空間構造システムの構築の創製を目指します。
植物の姿勢を最適化する張力応答のライブイメージングと分子機構の解析
研究代表者: 本瀬宏康(岡山大・自然科学・准教授)
研究協力者:高谷彰吾(ENS-lyon, Postdoctoral researcher)
研究協力者:Oliver Hamant(ENS-lyon, Group leader/Professor)
植物が成長する際には、内側の組織が肥大するため、表皮に圧力がかかり、張力が発生します。この張力方向に微小管が並ぶことで、器官の形態や植物の姿勢が整うことがわかってきましたが、微小管がなぜ張力方向に並ぶのかわかっていません。本研究では、張力応答のイメージングを通して、そのメカニズムと意義に迫ります。
根毛の自律的伸長機構にみる構造システムの研究
研究代表者:四方明格 (基礎生物学研究所・助教)
研究協力者:小田祥久(名古屋大学大学院・理・教授)
研究協力者:比嘉毅(東京大学大学院 ・総・博士研究員)
植物の根毛は自律的に直線状に成長する細胞です。本研究では、根毛成長においてどのように細胞壁が形成されるかという点に着目し、細胞成長に伴う細胞壁の力学的特性の変化が細胞の成長や形態に与える意義を明らかにします。そして得られた知見から、建築などに応用可能な新たな構造システムの創出を目指します。
細胞分化における細胞表層構造の力学的最適化(H31年度)
研究代表者:小田祥久(国立遺伝学研究所・教授)
研究協力者:島本勇太(国立遺伝学研究所・遺伝メカニズム研究系・准教授)
研究協力者:藤田智史(国立遺伝学研究所・遺伝形質研究系・博士研究員)
研究協力者:佐々木武馬(国立遺伝学研究所・遺伝形質研究系・助教)
研究協力者:杉山友希(国立遺伝学研究所・遺伝形質研究系・博士研究員)
植物細胞は細胞壁の性質を変化させることにより様々な機能を持った細胞に分化します。本研究では培養細胞を用いた細胞分化系と顕微力学操作技術を用い、細胞壁を含む細胞表層構造の力学的な性質とその分子的な背景を明らかにします。
植物細胞壁由来の高分子多糖用測定電気化学センサーの開発(H31/R1年度)
研究代表者:菅野康仁(信州大・繊維学部・化学・材料系・特任助教:現、トヨタ自動車株式会社・東富士研究所・主任)
本研究課題では、セルロース等の高分子多糖類を電気化学的に直接酸化する新しい反応経路を用いて、高分子多糖類の部位選択的酸化反応系の構築を目指します。また、本反応系を用いた応用課題として、植物細胞微小区画における細胞壁主成分を、常温常圧でon-site 測定可能な高分子多糖用電気化学センサーの構築を試みます。
葉の可逆的な構造変化を可能にさせる細胞・組織の力学バランスの解明(R1~R2年度)
研究代表者:小野田雄介(京都大・院・農学・准教授)
研究協力者:大家哲朗(慶應大・理工・専任講師)
多くの植物の葉は、強い日差しのもとでは、可逆的に萎れることにより、加熱や過蒸散を抑えることができます。そのような植物の柔軟な「行動」を、細胞・組織の力学バランスから解き明かすのが目標です。
細胞壁の(3+1)次元動力学(R1~R2年度)
研究代表者:谷本博一(横浜市立大・理学部・准教授)
研究協力者:須崎大地(横浜市立大・木原生物学研究所・学術PD)
研究協力者:丸山大輔(横浜市立大・木原生物学研究所・助教)
細胞壁の3次元変形場を実時間測定することで、花粉管細胞の変形と成長の動力学の理解を目指す。
MRIを用いた新しい植物微細構造解析法の開発(R1~R2年度)
研究代表者:中井隆介(京都大・特定講師)
本研究では、病院でも使用されるMRI装置を用いて、植物を撮像するためのハードウェア・撮像シーケンス・画像処理法を開発することにより、植物の構造や構造特性をMRI画像から計測するシステムを構築します。さらに、計測した情報を数値シミュレーションに応用することを目指します。
湿熱回復現象から紐解く成長応力発生メカニズムの解明(R1~R2年度)
研究代表者:松尾美幸(京都大・生存圏研究所・循環材料創成・准教授)
樹木は幹や枝を支えるために、木部の力学性能を高めると同時に、成長応力を樹体内部に発生させています。本研究では,湿熱回復と呼ばれる現象に着目し、成長応力の具体的な担い手とその発生メカニズムを明らかにすることを目指します。
テンセグリティ構造体にはたらく細胞骨格メカノネットワークの力学的最適化原理の解明(R1~R2年度)
研究代表者:矢島潤一郎(東京大・院・総合文化・准教授)
研究協力者:児玉豊(宇都宮大・バイオ・准教授)
細胞は、細胞骨格や結合タンパク質から構成されるテンセグリティ様構造体の力学特性を持ち合わせます。本研究では、細胞骨格間に働く張力を定量できるFRET型張力センサーを開発し、テンセグリティ様構造体の力学的最適化原理の理解を深めます。